森から海へ、そして再び森へ。自然の大きな循環とともに…。
海の栄養分が陸上植物へ供給される仕組み(鮭よ帰っておいで!)

海の栄養 → 森へ還る

鮭の遡上

鮭の遡上(そじょう)をご存知でしょうか。
鮭は群れをなして、生まれた川に産卵のために帰ってきます。激流を何度も何度も飛び跳ねて越えるシーンは、感動的です。
川に産んだ卵は、孵化(ふか)し、鮭の稚魚(ちぎょ)となり大海へ出ます()。
鮭は、海で栄養補給しながら成長します。海に出てから3~4年かけて、また、生まれた川に産卵のために戻ってきます。これが鮭の遡上です。
*卵の膜を破り外に動き出す状態を孵化といいます。近年は、体調 0.4cm~1cm の稚魚を、外敵から守るために養殖場で育て、川に放流しています。

この海につながる河口は、産卵の時期になると鮭の大群で埋めつくされます。海の栄養をたっぷり補給した鮭を熊やオオワシが狙うシーンをテレビなどで見たことはありませんか?
鮭は川上にのぼり産卵場所を探します。産卵を終えると脂が抜けて白っぽくなり(この状態を「ほっちゃれ」といいます/北海道の方言)、ここで一生を終えます。
「ほっちゃれ」は、キツネやカモメ、カラスなどの哺乳類、鳥類などの餌になります。
更に、食べ残された「ほっちゃれ」は川虫などの昆虫類に食べられるなど、海の栄養が陸・川の栄養につながっていることが近年の研究で明らかになってきています。

ほっちゃれ

海と森の栄養連鎖

北海道内でサケの遡上が確認された川は、104河川ありました(238河川中)。(北海道立総合研究機構さけます・内水面水産試験場 2008年より)
北海道では、近年、年に約10億尾のサケの稚魚(1gもの)を放流することで、3~6千万尾の来遊数(単純回帰率3~6%)があり、沿岸漁獲や河川捕獲してます。(北海道区水産研究所より)
北海道八雲町を流れるユーラップ川、稚内市を流れる増幌川の2河川近辺では、サケの遡上量の約1割(年平均)の「ほっちゃれ」が陸上に運搬されていることがわかりました。(北海道立総合研究機構(道総研)の調査 2003~2010年)

遡上する河川が増え、自然産卵も増え、サケ・マスの遡上量が増えている状況は、熊、キツネ、ワシ、カモメ、カラスなどの哺乳類、鳥類により陸に運ばれ、また、それ以外の小動物や昆虫類、微生物分解により森の栄養になることがわかってきました。