森から海へ、そして再び森へ。自然の大きな循環とともに…。
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豊かな森を守ることは、海の水産資源を増やすことに繋がります。そのため道内各地で漁協女性部が中心となり、毎年、植樹活動を行っています。
ここでは、植樹に使われる樹種、その中でも広葉樹を中心に紹介します。
植樹に使用される木々は、根を張りやす移植が容易であることから、防風林、防砂林にも使用されています。
エゾヤマザクラ
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バラ科の落葉広葉樹。
高さ25m、直径は90cmほど。
俗称オオヤマザクラといわれ、北海道ではヤマザクラといえば一般にこの工ゾヤマザクラのことをさす。樹皮は暗柴褐色、皮目は横にのびる。葉はだ円形~卵状だ円形で鋭いギザギザがあり、先は尖っている。7月頃、小形のサクランボのような実が黒紫色に熟す。
用途は高級家具、細工物、庭園樹のほか、樹皮を剥ぎ桜皮として細工物に使用する。
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アカエゾマツ
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マツ科の常緑針葉樹。
大きなものは、高さ40m、直径は1.5mにもなる。
樹皮は暗赤褐色、不規則で鱗を貼り付けたように荒々しい。「皮が赤みを帯びた蝦夷の松」から「アカエゾマツ」と呼ばれる。葉は短い針のような形でらせん状につく。断面は四角形、葉の表は濃い緑で裏は薄い緑色。先端が尖ってチクチクする。
エゾマツとともに「北海道の木」に指定されている。
用途はピアノやバイオリンなどの材料として使用する。
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シラカバ
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カバノキ科の落葉広葉樹。
高さ25m、直径は1mほどになる。
若木は褐色であるが、成長すると樹皮は光沢のある白になる。緑の葉とのコントラスト、秋の黄葉が美しく、庭木としても好まれる。
葉は三角形で周囲にギザギザがある。表は濃い緑色、裏は淡い緑色で6〜8対の葉脈がある。
柔らかく加工しやすいため、木工品やパルプ材の他、爪楊枝の材料としてとして使用する。樹液はミネラルやアミノ酸等がバランス良く含まれており、健康飲料水などに使用する。
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ミヤマハンノキ
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カバノキ科の落葉広葉樹
高山では地面をはうように幹や枝を横に伸ばし、低地では高さが10m以上になる大型の低木。
樹皮は暗い灰色で割れ目がない。
葉は広卵形で先はとがっている。縁には細い鋸歯があり、裏に粘る毛がある。
雌雄同株。雌花序は枝先に上向きにつき、秋に熟して球形の果穂となる。果実(堅果)には翼がある。
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ミズナラ
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ブナ科コナラ属の落葉樹。一般的に「どんぐり」と呼ばれるている。
北海道のみならず、日本全国に広く分布し、その寿命は500年以上、時には1000年を超えるものもあり、大きなものは高さ30mにも成長する。
葉はつやのない緑ではっきりとした鋸歯(ギザギザ)がある。春には長さ5〜6cm位の花が咲き、秋には実がなる。
道内のほとんどの漁協女性部が取り組んでいる植樹活動では最も本数の多い樹種である。
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イタヤカエデ
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カエデ科の落葉広葉樹。
樹高は20m、直径は1mに達する。
葉は長さ、幅ともに5~10cmで、掌状に浅く裂け、鋸歯(ギザギザ)はない。
春には小さな淡黄色の花が咲き、秋には黄色になり散る。実は2個の翼果からなり直角に開く。
樹液は甘く、メープルシロップとして知られている。
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ヤチダモ
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モクセイ科の広葉樹。
北海道から本州の平地から山間部に分布、特に北海道に多く植林も盛んに行われている。根が冠水しても生きているため、水際での植林にも多く選定される。
樹高は30mにも達するものがある。
葉の特徴は幅が広くて先が急に細くなり、縁には細かい鋸歯がある。葉の付け根の裏側に茶色の毛が見られる。
アイヌの伝説では「ヤチダモは森の中で最も背の高い木で、森の守り神のフクロウが、この木の上で人間界に悪魔が近づくのを見張った」と言われている。
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ニレ
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ニレ科の広葉樹。
大きなものでは樹高30m、直径は1.5m以上にもなる。
葉は先が尖った倒卵形で長さは4~15cm、枝に互い違いにつく縁はギザギザで短毛があり、ざらついている。
種子には翼があり、翼の先はくぼんでいる。
皮をはぐとネバネバの樹液が出ることから「ぬれの木」→ニレノキ と呼ばれるようになったという説もある。また春に花が咲くことからハルニレとも呼ばれる。
成長が早く、移植が容易であることから、植樹や街路樹にも多く利用されている。
アイヌ伝説では、ハルニレは女神。最高の「火の女神」であり、ハルニレを擦って火を得ていたと言われている。
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写真出典:北海道森林管理局Webサイト (http://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/)